インタビュー

埼玉3区選出 衆議院議員黄川田仁志さん

海洋資源開発の

新しい形を探るべき

野間口 元々、海洋関連がご専門で現在も党の海洋資源開発のプロジェクトにも関わっておられるということですが、アベノミクス、3本目の矢である成長戦略としても、海洋開発は有意義ですか?

黄川田 海洋産業は総合力なので、新技術も生まれます。最近見たのは深海7,000mの水圧にも耐えられる耐圧ガラスの技術を使った地震計です。そういう技術は日本でなければできませんし、ニーズは日本以外にもあります。海洋開発から派生する技術や産業はたくさんあって、世界的にも日本の技術には競争力があります。

資源エネルギー開発でいえば、それに使うドリルや機械、造船に関係する部品が必要になります。そうなると草加、越谷の中小工場にも注文が来る可能性はあります。先日、越谷のある町工場を訪ねたら、タイの洪水の被害で自動車の部品の注文が落ちて困っているといっていました。それぐらい世界はつながっているのです。海なし県の埼玉県にも、海からの仕事はやってきます。

野間口 海洋開発でエネルギー資源を開発できる可能性はどれくらいあるんですか?

黄川田 佐渡沖では、石油資源の調査が始まりますし、先日話題になった天然ガスに代わるエネルギーであるメタンハイドレードの調査も進めていて、日本の海域に100年分あるといわれています。レアアースも海底に230年分あるといわれています。

ただ、それらの資源が眠っている場所が非常に深いところにあるんです。日本はちょっと沖に出るとすぐ海が深くなっています。レアアースなどは1万mくらいの場所にありますから、これをどうやって引き上げるかは難問です。時間がかかりすぎると、国民の関心も薄れますから、別のやり方もあると思います。

日本の旧委任統治領だったパラオやパプアニューギニアなどの周囲には豊富なエネルギー資源が眠っていて、海底も浅いんです。そういった太平洋の諸国と連携して、島の周辺海域を使わせてもらって、相手国にも富や産業が分配されるような仕組みをつくれればと考えています。いわゆるwin-winの関係を築けると思います。現状、日本周辺海域にばかり目がいっているので、海洋国家・日本として、是非世界中の海に目を向けて、進出していってほしいと思っています。

野間口 そういった海域の開発はまだ手つかずなんですか?それとも外国企業が既に入っているのですか?

黄川田 ヨーロッパの石油資源メジャー、韓国も入っています。欧米の企業は株主資本主義ですべての利益は株主に還元するという考えです。中国は国家資本主義で国が全部利益を持って行ってしまいます。そこで、見直されているのが日本のやり方です。日本企業は相手国にもしっかり利益をもたらすので、是非とも日本と一緒にやりたいという国が増えてきそうな予感があります。

こういった海洋に関する関心は以前より格段に高くなっています。それは2007年に海洋基本法という法律ができたからです。海洋開発で日本のエネルギー問題を改善しならが、同時に世界に貢献できる、日本の自立と誇りにつながる分野だと思っています。

 

外交は「子どものケンカ」

自我のぶつかり合いから始まる

野間口 エネルギー開発に関してもそうですが、日本は諸外国に比べて交渉下手、丁々発止の交渉で利益を取っていくということが苦手な気がします。

黄川田 私が民間企業から国連に出向して感じたことですが、「外交は子どものケンカ」です。思いっきり国益をぶつけないといけない。

たとえば、国連の会議において、日本、韓国、中国、ロシアの4ヵ国で日本海の環境ための行動に関して、日本はどの国も飲めるような非常にまじめで常識的な案をつくって持っていくんですが、他の国はそうではないんです。

相撲でたとえれば、立ち会いで外国はつっかけ気味に一気に出てきます。しかし、日本は無気力で真っ直ぐ立ってしまうのです。気がつけばこちらは土俵際まで押し込まれている。たまに議論でうっちゃることもあるけど、大概はそのまま押し切られてしまう。

経済的排他水域(編集部注:資源開発など経済的な主権が及ぶ水域)の日中交渉で、日本は常識的に中国と日本の中間地点あたりまでが、自国の海域だと主張しています。ところが、中国は日本の国土の水際である沖縄トラフまで自国の海域だと主張しています。この交渉が長引いている間に中国は日中中間地点あたりでガス田開発しています。これが「東シナ海ガス田問題」と呼ばれる、日中の懸案事項になっています。

国際交渉は子どものケンカ、国益のぶつけ合いですから、日本も中国と同様に、中国領土の水際まで自分たちの領海だと主張すればよかったのだと思います。お互い、相手が飲めないことを主張して、そこから初めて交渉が始まります。理不尽に聞こえるかもしれませんが、これが外交です。

北方領土も同じことです。1875年の樺太千島交換条約で、日本は樺太全島をロシアに渡す代わりに18島からなる千島列島を日本の領土にしました。先の戦争の時に、当時有効だった日ソ中立条約を無視して、ソ連は日本に攻め込みます。複雑な経緯はありますが、相手も常識や条約を破るようなことを堂々とやっている。日本は敗戦の日の8月15日以降にソ連に取られた千島列島18島の返還をはじめに要求していれば、譲って4島は返還ということになっていたかもしれない。外交交渉に必要な子どものケンカ的な自己の主張が日本人は苦手なんです。

野間口 TPPでは、安倍総理は守るべきは守る交渉するといっていますが、本格的な外交交渉の腕を上げる芽は出ているということですか?

黄川田 TPPは、情報がなさすぎて難しい交渉です。中身が分からないのと、何をもって「国益」とするかがはっきりしないので、単純に賛成、反対といえません。安倍総理はじめ日本政府は頑張って交渉するとは思いますが。

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