特集

知的障害者の自立に向けた「つばさの森」の挑戦

草加市柿木町にある、草加市障害福祉サービス事業所「つばさの森」では、知的障害者が就職などの社会参加に必要な知識、技能、態度などを習得することを目的に、事業を行っています。(運営は、草加市100%出資の社会福祉法人「草加市社会福祉事業団」)

つばさの森では、施設利用者の生活の質、やり甲斐向上のために、事業の中で様々な「挑戦」を続けています。今回の特集では、つばさの森の紹介を通して、知的障害者の就労について考えます。

(取材・文 野間口司郎)

 

障害者の就労支援基礎知識

 

【障害者自立支援法 

2005年に成立した「障害者自立支援法」は、「保護から自立へ」を理念に、障害者の就労支援、地域での共生を目指して定められた障害者福祉の基本となる法律です。つばさの森も主にこの法律によって運営されています。

障害者の就労支援には、図表2で示したように、いくつかの種類がありますが、つばさの森では、「就労移行支援事業」(定員12名)と「就労継続支援B型事業」(定員75名)、2つの事業を運営しています。

 

▽図表1 障害者自立支援法で提供されるサービス

障害者自立支援法による総合的な自立支援システムの全体像は、自立支援給付と地域生活支援事業で構成されています。「つばさの森」はこの中の訓練等給付で位置づけられた事業です。

 

図表1障害者自立支援

全国社会福祉協議会発行「障害者自立支援法のサービス利用について」のパンフレットより

 

▽図表2 障害者に対する就労支援の区分

(図表クリックで拡大)

図表1. 2013年4月からは、障害者自立支援法の発展バージョンである「障害者総合支援法」が施行され、地域社会での障害者との共生が図られます。

 

【障害者法定雇用率

昭和35年に制定された「障害者の雇用の促進に関する法律」で、民間の事業主は従業員の1.8%の障害者を雇用しなければいけないと定められています。つまり、56人以上従業員のいる事業所(会社など)は、最低1人の障害者を雇用しなければいけないのです。1,000人の従業員がいれば、1,000×0.018で18人の障害者を雇用しなければいけません。この1.8%という割合は「障害者法定雇用率」と呼ばれます。障害者法定雇用率は公的機関では2.1%(都道府県の教育委員会は2.1%)、独立行政法人では2.1%となっています。

これを達成できない場合、不足する1人当り月額5万円を「障害者雇用納付金」という形で、国に納める必要があります。納められた「障害者雇用納付金」は、雇用率を達成している企業の支援や各種の助成金として使われます。

ここでいう、「障害者」とは「①身体障害者」、「②知的障害者」、「③精神障害者」、「その他」を指します。「その他」には①から③までのどれにも該当しない者、発達障害者などが含まれます。

障害者法定雇用率(民間)は、2013年4月から現行の1.8%から2%に引き上げられる予定です。つまり、56人に1人から50人に1人の割合で、障害者を雇用しなければいけません。

これは、雇われる側にすれば、雇用の枠や対象企業が増えるので、チャンスの拡大です。

 

【特例子会社制度

事業所は、法定雇用率に従って障害者を雇用する義務がありますが、時として障害者をまとめて採用し専用の体制を敷いて業務を行ったほうが効率的な場合もあります。

たとえば、三郷に事業所があり、つばさの森の利用者からも就職者がいるマルエツの子会社(株)マーノサポートセンター(本社:東京豊島区、以下マーノ)では、身体障害、知的障害、精神障害者を主に採用し、マルエツの清掃や商品整理、メールの仕分けといった業務を行っています。マーノでの障害者雇用は親会社であるマルエツの法定雇用率として算定できます。このような子会社を「特例子会社」といい、2012年5月末日現在、全国に 349社あります。

 

<特例子会社のメリット>

事業主にとってのメリット

○障害の特性に配慮した仕事の組立て・職場環境づくりが、よりしやすくなります。このことで、障害者の能力をより多く引き出すことができます。

○職場定着率が高まり、生産性が上がります。

○障害者受け入れにあたり、設備投資を集中させることができます。

○親会社と異なる労働条件の設定が可能となり、弾力的な雇用の管理ができます。

 

<障害者にとってのメリット>

○雇用の機会が拡大することが期待できます。

○障害者に配慮された職場環境で、個人の能力を発揮する機会が増えます。

 

埼玉県内の特例子会社

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