特集

草加のものづくり ステンレス加工 田島製作所

手の感覚を頼りに、注文通りの製品をつくる

草加市松江町にある田島製作所は、ステンレスを加工して加工食品の製造や包装に使う機械を主につくっています。キッチン用品の素材としてもおなじみのステンレスは錆びにくく強度が高いという特性を持っており、これを思い通りに加工するためには、豊富な経験と職人の技が求められます。草加のまちづくりでも活躍する、この道15年の田島さんのものづくりを取材しました。

(取材・文 野間口司郎)

 

製造工程

田島製作所でつくられる製品を製造工程順に見ていきましょう。

 1 素材

用途に合わせて凹凸のない普通のステンレス板、くぼみのついたエンボス、網状になったパンチングなどの素材があります。田島製作所では、パンチングはあんこをこすための網として用いることが多いとのことです。エンボスは食肉加工の機械に用いることが多い素材。食肉は水分を含むため、平板な板では表面にくっつくので、凹凸のある板を使うことで、食肉がスムーズにその上を通ります

△通常のステンレス板、用途によって厚みが違う

 

 △エンボスタイプ(表面に凹凸がある)
 
 △パンチタイプ(穴あき)あんこをこす用途などで使われる
 
△発注されたら、仕様書にまとめて製作に入る

 

2 切る

ステンレス板に切り取り線を書く「罫書き(けがき)」という作業をしたあと、機械でその線に沿って切っていきます。

△足踏み式の切断機 ペダルを踏んでステンレス板を切っていきます。お父さんの代から使われている機械

 
△コンパスに似た原理で、板を丸く切る機械
 
△直角に切る機械。板をL字状に直角に切り取る機械

 

3 曲げる 

必要な大きさに切ったら、仕様通りの形、立体にするために曲げていきます。

△板を挟んで体重をかけ曲げる機械。作業は機械まかせで精密に行うというよりは、比較的シンプルな工具、工作機械を使って触ったり、見たりしながら、手感覚で進めていきます

 

△電車のレール(奥)や丸い鉄柱(手前)に板をあて木槌で叩きながら、微妙な角度、曲線をつくっていきます

 
 
△木槌は製品のサイズや用途に合わせていろいろな種類があります
 
△ステンレス板を円筒状に加工する機械
 

4 溶接

ステンレスをつなげたり、部品をとりつけたりするために、溶接します

△スポット溶接機 板と板を重ねて溶接でつなげます。お父さんの時代からの年季の入った機械

 
△新しい溶接の機械、年季の入ったものに比べるとコンパクト化されています。使う電力も大きなものに比べれば少なくてすみます
 

5 仕上げ

△溶接で焼きついた部分を薬剤で拭いてきれいにしたり、継ぎ目や板の表面を研磨します。研磨するブラシやヤスリは目の粗いもの、細かいもの用途に合わせ使い分けます

 

6 完成品

お菓子の製造ラインで、包装前のお菓子が入る部分。仕上げ工程前の製品です。このような製品を平均で2,3時間かけてつくります。1日に4つ、5つが限界。量産型の製品ではなく、職人の感覚で一つ、一つを作り上げていく製品です。

 

働く姿を子どもに見せられる

それが、町工場のいいところ

△仕事の合間の田島さん。工場内は気温が高く、作業すると汗が全身から噴き出て来ます。汗にまみれて働く父親の姿をお子さんは毎日見ています。

 

「幼い頃から、工場兼用の家に住んでいて、おやじの働く姿を毎日のように見ていました。今、二人の子どもがいますが、子どもたちに父親の働く姿を見せられるのが町工場のいいところかなと思います。

子どもたちに言っているのは、こういう仕事だから偉いとか、こういう仕事は偉くないとか、仕事を差別してはいけないということです。仕事にそういうものはなく、いろんな仕事があって、それぞれの仕事が人の役に立っている。偉い、偉くないでなく、人の役に立つことが大事なんだと思います。

不況の影響で、草加のものづくりも、大変なところはありますが、ひとつひとつ丁寧に仕事をしていくしかないと思います」。

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